[Sound Odor 33] The world seen from the stage of <What a Wonderful World !! 16>
沖縄行き直前に突然の異動を告げられ、前日電車の中で財布を落とした。災難続きで沖縄でも絶対何か悪い事が起こると思い、飛行機乗る直前に神社にお参りへ行ったら怪しげな骨董市が開催されていて、ますます不安に…。そんな気持ちで訪れたMONGOL800が沖縄で主催するフェス<What a Wonderful World!!16>。フェス2日目も終盤に差し掛かったRIZEの最後の曲はJESSEの最後の戦いだというMCで始まった「カミナリ」。最高潮に盛り上がった一曲前の「日本刀」よりもさらにダイバーが増えた。僕もその中の一人だった。3回目か4回目のダイブの後、セキュリティーに抱えられながらJESSEと目があった気がした。セキュリティーに降ろされた時、それは気のせいじゃなくて真っ直ぐに僕を見たJESSEが指差して言った。「お前上がって来い!」一心不乱にステージに向かって走ってジャンプする。ステージが高くて全然届かなかったけど、伸ばした手をJESSEとステージ上のスタッフが掴んで引き上げてくれた。真っ白な照明、スモーク、メンバーの息遣いと汗、いつものアンプとATELIER Z、10年前に使われてた久々のドラムセット。振り返ったら目の前だけじゃなくて隣のマングーズSTAGE前でも驚いてる人や叫んでる人、拳を上げてる人、みんな最高の笑顔だ。右を見たらKenKenがズボンの裾を引っ張ってお揃いだねとニヤッとしてくれた(僕が寅壱×KenKenニッカポッカを履いてたので)。JESSEの耳元で「生きてて良かった」って伝えたら、10年以上前から背中を押してくれてた人が思いっきり背中を叩いてくれた。僕はシャツを客席に投げ込んだ。KenKenに名前を聞かれ叫んだら、KenKenが会場に「りょう」って紹介してくれた。JESSEは「バンドマン居るんだろ! 早くこっちのステージに上がって来い!」と叫ぶ。盛り上がりと、驚き、コイツやれんのかなって雰囲気が入り混じった会場。「こんなんで始めれるのかよ…」ってJESSEが呟き、僕はマイクを手に取って「オイ!オイ!」と客席を煽った、それに応えてくれたお客さん、会場のざわめきが盛り上がりに変わった所で、KenKenからの「3、2、1」のキュー。小学生の頃池袋ウエストゲートパークというドラマで見て初めて好きになったバンドの曲を、そのバンドをバックに自分がステージで歌ってた。ステージに上がれば凄い感動するって思ってたけど感動よりも、ステージ上はRIZEとお客さんの戦いでもありRIZEメンバー同士の戦いでもあり、マイクを握れば憧れのバンドも仲間でありライバルだった。色んな人に運んで貰ってステージに上げられマイクを渡されたからには、今日マイク握ったのがあいつで良かったって心震わせてやろうって、それだけ考えてた。大学の時、先輩に誘われたバンドで人生で初めてコピーした「カミナリ」をラップする。知ってる人がダイブしてるのも、僕の事を知らないたくさんの人が叫んでるのも暴れてるのも全部ステージから見えた。ラップを締めくくる最後のフレーズはお客さんにマイクに向けた。ラップ中のテクニカルなリズムから一変しラップ終わりからまた激しい演奏へ。ステージ上は熱気がさらに増して音と音がぶつかり合う。最後のサビで段々と終わりへ近づく。客席に対して後悔すんじゃねぇぞって感情が芽生えた。初めてRIZEを見て驚いてる人も、ダイバーを見ながらうずうずしてる人も後悔の無いように暴れて欲しくて、最後のフレーズで客席にマイク向けた後「沖縄ーー!! 飛んでこい!!」って叫んでた。隣のステージ前の客席からもダイブする人や、丘の上や海沿いの方から走って来る人、目の前もダイバーの嵐。演奏を終えて倒れ込むメンバー、倒れこみながらJESSEはすげぇ笑ってた。その顔見たら僕は後悔無かったしやりきったなって思い、JESSEの手を持って引っ張り上げたらそのまま強く肩を組んでくれた。KenKenは僕のお尻を叩いた。RIOは満面の笑顔で固い握手。あっくんに拳突き出したらそのままガッシリ抱き締めてくれた。マイクを握り、客席に対してはやってやるって気持ちでRIZEに対しては負けへんでって気持ちでステージ立ってたのが終わってからは、叫んでくれて応援してくれてぶつかってくれたお客さんに対する感謝とはけていくメンバーに対する感謝、ステージを作ってくれたモンパチやスタッフ、関わった全ての人に対する感謝が一気に襲ってきてどんだけ頭下げても伝えきれなくて全然動かなかった。全員で作った最高の瞬間と空間でその空間にたまたま自分が居ただけ、全員が主役のライブだった。ステージ降りてからも色んな人に声かけて貰って、トイレでモジモジしてた男の子に「先行く?」って聞いたら男の子もお父さんも「さっきのお兄さん!」って興奮してくれた。朝、会場行く途中のコンビニの駐車場で僕のKenKenズボン見て話しかけてくれたRIZE好きなお兄さんと再会して、沖縄の人は恥ずかしがり屋なんで代わりにステージ上がってきて下さいって冗談で言われてたのが実現しちゃったことを笑いあった。2日間頑張ってくれてたスキンヘッドのセキュリティーのおじさんに絶対怒られると思ってたけど、「君ステージ上がった子でしょ? 凄い良かったよ! このラッキーボーイ」って言われてホッとしたり。僕と写真撮った後、近くに居た女の子にこの人さっきステージ上がって凄かったんだよ〜って話しかけてそのままナンパしてどっか消えちゃったお兄さんとか(笑)。素敵な人がたくさん居て声かけてくれました。写真撮ってくれたり、遠くからリョウーって呼ばれたり、良かったよって声掛けてくれて握手してくれて。音楽はカッコ良いし、家で一人で聴くのも良いかも知れないけど、音作りに携わってる人やそれを求める人達を繋ぐドラマが音楽の向こうにある。ライブに行った事無い人やライブから離れてしまった人は是非ライブハウスのドラマを体感して欲しいし、ライブに来たら思いがけない事が起こるかもしれない。撮影◎(c)WWW16 OFFICIALBARKS【速レポ】モンパチフェス<WWW!! 16>、ファンが1曲歌い切ったRIZEの驚愕パフォーマンス◆ ◆ ◆■音踊人(Odoru-Beat)とは?音踊人は、みなさんの「音楽体験」を募集しています。ライブレポートやディスクレビュー、お気に入りアーティストの紹介や、お勧めライヴハウスの紹介など、音楽にまつわるモノならなんでも構いません。あなたの「音楽体験」で新たな音踊人が増えるかもしれません。BARKSと一緒に音楽を盛り上げましょう。◆ ◆ ◆この記事を邦楽音楽フェス音踊人What a Wonderful World!! 16