“戦艦大和方式”のビジネスカバン運用法:樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」
手ぶらでは仕事できない。ビジネスでは、お客さまに提出する書類を運ぶだけでなく、いつでもどこでも必要最低限の事務処理ができる装備を持つことが重要だ。さらに、少しでも時間が余ったら、自分の時間として最大限活用したり、その場を楽しめたりすることが、筆者の信念だった。そのために、それだけの装備を入れるカバンが必要。カバンもTPOに合わせて、いくつか用意しておくのがいいだろう。
現役時代、会社のエレベーターでは「おう樋口君、これから出張?」と、よく尋ねられたものだ。「いいえ」「でかいカバンだなあ」「そうですね。何でも入っていますからね。何をご希望ですか?」。当時としては極端な重装備で、ワープロも持ち歩いていた。今はPCを2台(執筆用とバックアップ)持って出張する。
筆者の出張は、必要なものはすべて持参する。大昔の戦艦のようにありとあらゆる“兵器”を積み込む“戦艦大和方式”だ。旧式だから現在の読者には推奨しない。しかし、筆者も今となっては習慣を変えられない。せっかくだから、筆者のカバンの利用方法をご紹介しよう。旧式のやり方だが、もしかしたら「出張のやり方」のヒントになるかもしれない。
左のキャスターバッグとショルダーバッグはAceGeneブランドのもの。筆者のハードな使用にも壊れない愛用のバッグだ大昔、キャスター付きフライトバッグなんてなかった頃、筆者は肩が曲がるほど重いバッグを提げていた。8キロほどのカバンをキャスターなしで提げていると重い。カバンにキャスターが付けられた時、一番に飛びついたのが筆者だった。そしてカバンはさらに重くなり、11キロを超えた。日帰り出張の場合には、さらに小型のショルダーバッグを付ける。理由は、ノートをさっと取り出せるようにするためだ。
一晩でも泊まる予定だと、このキャスター付きフライトバッグでは足らなくなる。だから、さらに小型のボストンバッグと組み合わせる。ここまでで重さは14キロ程度。2泊3日であれば、ボストンバッグを組み合わせたフライトバッグを手に、ショルダーバッグを肩掛けする。これで重さは全部で18キロ程度になる。3泊4日以上だと、さらにキャリーバッグを組み合わせて――重さは22キロ!
海外出張で1週間となると、スーツケース、キャリーバック、ボストンバッグ(かショルダーバッグ)の3バッグを組み合わせる。これ以上増えると、空港でもホテルでも、1人で運べなくなるのだ。出国前は宅配便で成田に送るればいいが、海外では、さてどうしよう。見知らぬ誰かに運ぶのを手伝ってもらうのは安全性や金銭的なことからも避けたい。
2週間を超えて欧米を走り回る出張では、スーツケース2つ、ボストンバッグと機内持ち込み用のキャリーバッグの4バッグになることもある。これで48キロ。こうして筆者は、荷物持ち込みの超過料金を支払うことになるわけだ。
荷物が多いと階段がツラい!
これらのカバンを持って出張しようとすると、国内でもバリアフリーの進展状況がよく分かる。JRの駅舎でもバリアフリーは進んでいて、たいていの場所には階段だけでなく、スロープやエレベータが付いていて便利になった。しかし、JRの東京駅で1カ所だけ気になるところがある。それは東海道新幹線の改札を過ぎたところにあるトイレ。ここのトイレの前に数段の階段があった。改札内にはここしかトイレがないの、ぜひバリアフリー化してほしいところである。
今までの旅行の荷物の最高記録は、ベトナムから帰国した時。ヨメサンと2人で全部で13個のバッグ(合計230キロ!)。成田空港では3台のトロリーに満載するはめになった。成田空港から帰りのバスに乗るのに、カバンを運ぶだけに2人分の乗車賃を余計に支払い、東京駅からは、ワゴンタイプ1台、通常のタクシー2台を使って帰宅した。もちろん、みんなにはオススメしない――。
カバンに囲まれて――荷物を減らして得るもの、増やして失うもの――。
「一冊のノートで始める力・続ける力をつける―人生も仕事もうまくいくアイデアマラソン発想法」(こう書房)1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「できる人のノート術」(PHP文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちら。
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