お手本はオルセン姉妹。使い古されたバッグに宿るアティテュード。
「理由はどうであれ、ハディッドが敢えてそうした前時代的なワイヤを堂々と使っている姿は、どういうわけか高級感を感じさせる。そうした選択は、彼女が最新テクノロジーに関心がなく、生活の中でよりシンプルなもの、シンプルで必要十分なものを選びとっていることを物語っている。そういうことが本当の意味で成功の度合いを表すのだろう」
もちろん、使い古された高級バッグが、ノンシャランな魅力を醸し出してくれないケースもあるだろう。仕事の面接に行く際に犬に噛みまくられたような姿のバッグを持って行く人は多くないはずだ。それに、修理不能の状態にまではしたくない。もちろん、きちんとバッグの手入れをすることに価値はある。ただ、使っているポシェットやトートバッグがいつの間にか擦り切れてしまったとしても、くよくよする必要はない。だって、この世の終わりではないのだから。
イットバッグを徹底的に使い倒す行為からは、持ち主の細かいことを気にしない態度がうかがえる。昔のように、細心の注意を払う人はもういない。リュクスなバッグを安っぽいトートバッグのごとく持ち歩くのは服装に関心がないからではなくて、私には現実の生活というものがあり、あちこち行かなければならない場所があるからなのだ!
本当の贅沢とは、高価なものを何度も繰り返し使うこと。それに、身に付けるものは結局、その人のストーリーを語ることになる。バッグが何かにぶつかるごとに、そこに歴史が刻まれる。それが騒々しいパーティーであれ、退屈な通勤であれ、擦り切れや傷の全てが簡単ではない人生をなんとか生き抜いてきたことの証しであり、そのバッグ、そしてその持ち主の生き様を物語る。それこそ、何より大切な意味を持つのではないだろうか。
Text: Liana Satenstein From: VOGUE.COM
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