無料で使える翻訳機能が「Simeji」に登場! 英語翻訳の精度も向上
バイドゥは、日本語入力アプリ「Simeji」の有料オプション「プレミアムサービス」に提供している翻訳機能をリニューアル。操作法や機能を改善したほか、無料版でも利用できるようにした。まずはAndroidから対応し、iOSは2017年内に対応する予定。リニューアルに伴い、プレミアムサービスの翻訳機能はなくなり、無料版に統合される。
従来の翻訳機能は、単語を入力するたびにリアルタイムで翻訳をする仕様だったが、新しい翻訳機能では、専用の入力欄に文字を入力して、ボタンを押して翻訳をするという仕様に変更される。コピーした文章を貼り付けて調べることもできる。さらに、従来の日英、日中、日韓に加え、英日、中日、韓日の和訳も入力画面から簡単に翻訳できるようになる。中国は簡体字が対象となる。
Simejiのキーボードを表示させたら、左上のキノコマークをタップして表示されるメニューの右下に「翻訳」が表示されるので、これをタップ。すると、入力画面の下にバーが現れるので、ここに翻訳したい内容を入力する。入力が終わって「翻訳」を押すと、本文に翻訳された内容が表示される。単語レベルからちょっと長い文章まで翻訳してくれる。
キノコマークをタップして現れるメニューから「翻訳」を選択すると翻訳機能がオンになり、専用の入力画面が現れる。ここでは「来週のどこかでご飯でもどうですか」を翻訳する(写真=左)。翻訳の入力画面に打ち込んだら「翻訳」ボタンを押すことで翻訳と入力が同時に完了する(写真=右)問題なく翻訳された(写真=左)。日本語から英語、中国語、韓国語の他、和訳も選択できる(写真=右)翻訳は、バイドゥのサーバに登録されているデータベースと照合して行うので、モバイル回線やWi-Fiに接続している必要がある。新語や流行語などを変換する際にサーバにアクセスする「クラウド超変換」と同じ仕組みだ。サーバを参照するとはいえ、翻訳はスピーディーなのでストレスを感じることはない。
新機能では日本語と英語の翻訳精度も向上しているという。これまでは、多くの翻訳システムに使われている「SMT」と呼ばれる統計翻訳システムを使用していたが、単語で区切る不自然な訳が多かった。例えば「I heard she got married last week」を日本語に訳すと、「私が聞いた彼女は先週結婚しました」という不自然な訳になってしまう。
一方、新しい翻訳機能では「ニューラル機械翻訳(NMT)」を採用したことで、より自然な文章を翻訳できる。先の例文だと、「私は彼女が先週結婚したと聞いた」と正確に翻訳してくれる。従来の不自然な訳でも何とか意味は分かるが、後者の自然な訳なら誤解を防げるし、SNSやメールなどでそのまま使える内容だ。
「来週のどこかでご飯でもどうですか」を英訳「御社のオフィスに向かっています」を英訳「I heard she got married last week」を和訳「Can you finish your work ahead of time?」を和訳日本語例文 | アップデート前(SMT) | アップデート後(NMT) |
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来週のどこかでご飯でもどうですか。 | What a meal somewhere next week? | How about going to dinner somewhere next week? |
御社のオフィスに向かっています | You heading in your office | I'm heading to your office |
英語例文 | アップデート前(SMT) | アップデート後(NMT) |
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I heard she got married last week | 私が聞いた彼女は先週結婚しました | 私は彼女が先週結婚したと聞いた |
Can you finish your work ahead of time? | あなたの時間前にあなたの仕事を終えることができますか? | 時間前に仕事を終えられますか |
海外の知り合いとSNSやメールで連絡を取り合っていると、意味の分からない言葉に出くわすことがあるだろう。もちろんネットで調べることはできるが、メッセンジャーでリアルタイムのやりとりをしていると、わざわざブラウザや他のアプリを立ち上げで調べるのは面倒なもの。でも、Simejiなら入力画面からすぐに翻訳できるので、スピーディーにやりとりを続けられる。先の例文の通り、英語なら自然な内容に訳してくれるので、訳した文章をそのまま送っても問題ないはず。
バイドゥによると、翻訳を「多言語で」「SNSで」使いたいというユーザーからの要望が多かったそうだ。海外の知り合いと連絡を取ることが多い人にとって、今回の新機能は朗報といえる。
翻訳文は日本語音声で入力することもできるので、例えば旅行や出張で海外を訪れた際、自分が話して翻訳した文章を見てもらう、といった使い方もできる。中国や韓国では英語が通じない場面もあり、現地の人と中国語や韓国語でコミュニケーションをする手助けにもなる。
ユーザーの翻訳データから生成した教師データを基に、バイドゥ側があるタイミングでアップデートを掛ける予定とのこと。特に日→韓の翻訳ニーズが大きいため、韓国語の翻訳精度強化も検討されている。
Simejiといえば、顔文字やネットスラングなど、若者が好むフランクな言葉の変換を得意としている。例えば日本語のネットスラングを英語に訳すとどうなるのか? は気になるところだが、若者言葉に特化した翻訳機能は、現時点では取り入れていないとのこと。これも今後のアップデートに期待したい。
今回の機能追加により、入力画面から簡単に翻訳できるようになった。インターネットを通じた、または現地の外国人とのコミュニケーションに役立ててほしい。