【おすすめDLゲーム】『Timelie』は時間を操る少女と猫のちょっと不思議なステルスパズルゲーム
ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回はPC(Steam)でリリースされた『Timelie』を紹介します。
本作は、タイ・バンコクのインディーズゲームスタジオである“Urnique Studio”が手掛けたステルスパズルゲームになります。“Microsoft Imagine Cup BEST GAME”をはじめ、“National Software Contest”やタイ最大のゲームフェスティバルである“BIDC 2020”でゲームオブザイヤーを獲得するなど、タイ国内の賞を多数受賞している注目の作品です。
そんな本作『Timelie』の魅力を紹介します。
動画のようにシークバーを操作するステルスパズルゲーム!?
本作は、不思議な世界で目覚めた少女が小さな猫と協力し、追手である謎のロボットに捕まらず、さまざまなステージのゴールを目指すステルスパズルゲームになります。
ステルスゲームといってもアクションゲームではなく、あくまでも“パズルゲーム”という、ちょっと不思議なゲーム。基本的に文字によるストーリーはなく、アニメーションで考察していくスタイルです。
マップ内は自由に移動できるのではなく、マス目が設定されており、そのマス目をタテ・ヨコ・ナナメに移動するシステムとなっています。敵対する謎のロボットも同じように移動してくるので、リアルタイムで動かすシミュレーションゲームを想像すると分かりやすいかと。
ロボットの動きを把握し、どうやって動けばいいのかを見極めるゲームになるのですが、それだけだとパズル感はないかもしれません。カギとなるのは、主人公である少女がもっている“時間を操る能力”。この能力を使うことによってゲームは一気にパズル化します!
“時間を操る能力”は、ゲームをキャプチャしたかのように巻き戻しや早送りができるわかりやすいもの。画面下に表示されたシークバーを左右に操作するという、斬新な操作方法です。なお、ダッシュやジャンプといったアクション性はありません。
ゲーム画面なのに動画再生画面のような斬新なUIですが、グラフィックとの違和感がないのがすごいです。
この能力で何ができるのか……敵ロボットに捕まってしまうと、最初からやり直しになりますが、本作はこの能力のおかげで捕まる前に戻ることができます。シークバーの操作で好きなポイントに戻ることができるため、何度も何度も試行錯誤しながら進んでいけるのが本作の魅力です。
足場が崩れて転落してしまうような場合でも、時間を操る能力で直前まで戻ることができるわけです。なお、シークバーはマウスでもキーボードでも操作可能。
早送り機能を使うことで、敵ロボットの行動パターンを先に見ることができます。
そのためプレイヤーは、開始時に敵ロボットの行動を把握し、その行動パターンから最適解の行動を考えることができます。詰将棋のようなパズル性が高い作品として楽しめるのがおもしろいところですね。
やりごたえのあるゲーム難易度!
敵ロボットは一定のパターンで動いているため、序盤はそのパターンを覚えればクリア可能。そのためそこまで難しくはないのですが、中盤以降はゲーム難易度がガラッと変わります! そこでポイントとなるのが猫とのコンビネーションです。
猫は少女が通れないような狭い通路を進んだり、鳴き声で敵ロボットを足止めできたりします。
一方の少女は、ドアを開ける装置を操作できたり、壊れて通れない道を修復できたりと、各々の役割が違うのがおもしろくもあり難しくもあるところなのです。
操作は“TAB”キーで少女と猫を切り替えます。行動中の切り替えも可能なので、タイミングが問われる場面も……。
シングルプレイなのにCO-OPのように息を合わせたコンビネーションプレイが問われるので、かなり遊びごたえのあるパズルゲームになっています。
難易度が上がってからは、猫を使ってロボットの動きをズラして、その隙をついて少女を逃がす! 今度は少女を囮に猫を逃がす! このように敵・少女・猫の導線を組み合わせて、最適解を探し出すことになるわけです。
注意することは、少女と猫が一緒にゴールしないとクリアにならないこと。片方だけなら簡単なのですが……。少女はゴールできたけど猫が間に合わなかったという場面が、何度も発生しました。
時間が戻せる本作にはゲームオーバーという概念は基本的にはありません。ただ、時間制限はあります。シークバーが右側まで達してしまうと時間が進まなくなってしまい、実質ゲームオーバーになってしまいます。
時間が足りなくなると、「どこまで戻してやり直すか?」ということに悩まされるようになります! 1つ前のギミックでいいのか? それともステージ開始時まで戻してやり直すのか? シークバーを右に左に動かして、修正できそうなポイントを見つけ出すのは本作の魅力の1つなので、思う存分に悩んでほしいです。
クリア後の見せ方も斬新でワクワクする!
クリア後に再生ボタンが表示され、スタートからゴールまでの行動が、プレイ画面とは少し違ったアニメーションでリプレイ再生されます!
しかも、失敗した場面は再生されず、スタートからゴールするまでのアニメーションが流れるので少し不思議な気分になります。
一体どうやって再生されているのか最初は分からなかったのですが、シークバー通りに再生されているだけでした(笑)。失敗した部分はシークバーを戻すので成功パターンで上書きされます。それを繰り返してゴールに向かっているので、最終的に失敗した部分は残っていないという簡単な理屈でした。
少し残念だと感じたのが、クリア後のアニメーションを保存できる機能がない部分です。敵ロボットをギリギリで避けてゴールしたり、正規ルートなのかわからない疑惑のルートでゴールしたりと、いろいろな場面があったので保存できれば、もっと楽しみが増えると思いました。
いずれにしても、ノーミスで進んでいく自分の華麗なプレイを見るのは少し不思議な気分です(笑)。
見事な世界観とさらなる高難易度の隠し要素!?
チャプター選択画面がゲーム内の世界観と統一されていますし、前のチャプターに戻る時は巻き戻しの演出が入るなど、芸が細かい本作。
シークバーを使った演出はステージ中だけでなく、チャプター選択画面やスタッフロール画面など、いたる所に用意されています。ゲーム内で世界観の統一が図られているので、細かい部分まで楽しめるのが本作の魅力であり、没頭させてくれる要素になっています。
本作の難易度は高めで、その中でも“猫が鳴かずにクリア”や“壊れた足場を直さずにクリア”など特殊な行動をすると“レリック”というのが解放されます。
このレリックをフルコンプするとかなりいいことがあるのですが……普通にクリアするのですら難しい本作で“レリック”を解放していくのは茨の道を歩むような感じがあります。
ですが、最適解だと思っていたルートよりもさらにいいルートの発見に繋がったり、深く楽しむ発見があったりするのでぜひ挑戦してもらいたいです。本編クリアとレリック攻略を合わせると、十分すぎるボリュームがあります。
音楽やグラフィックはシンプルにもかかわらず丁寧で美しいです。何よりこの世界は何なのか? 少女は何者なのか? 無事に帰ることはできるのか? このように謎が多く魅力的な作品です。
巻き戻しで“過去”を、早送りで“未来”を見ることができるおもしろい作品。謎めいた世界観が好きな方、高難易度のパズルゲームが好きな方に、ぜひプレイしてもらいたいです。
猫と一緒にクリアを目指してください!