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グラフのデザイン用カラーパレットを自作して活用する

グラフをデザインするにあたって「どのように色を指定するか?」は非常に大きな問題といえる。ただし、見栄えのよい配色を考えるのは意外と難しく、また、その都度配色を考えているようではグラフの作成に手間がかかってしまう。そこで、グラフ作成用のカラーパレットをあらかじめ準備しておき、便利に活用する方法を紹介してみよう。

グラフの色とデザイン

グラフの用途は大きく分けて2つある。ひとつ目は数値データの状況・推移を分かりやすく伝えること。もうひとつは文書のワンポイントとして、アイキャッチのようにグラフを活用すること。後者の場合、グラフにある程度のデザインを施す必要がある。

ということで、今回はグラフのデザイン、特に配色について、作業の効率化を図ってみよう。まずは、今回の連載で使用するグラフの例を示す。以下の図は、普通に「円グラフ」を作成した場合の例となる。

第46回の連載で紹介したように、「テキストボックス」を使ってグラフにデザインを施していくと、以下の図のようになる。

これはこれで悪くはないが、やはり「Excelで作りました」という印象が残ってしまう。というのも、Excelならではの配色が「よく見かけるグラフ」の雰囲気を作り出してしまうからだ。

これを改善するには「グラフの色」をカスタマイズして、よりオリジナルな配色にしなければならない。その最も手軽な方法は「色の変更」コマンドを使ってグラフの配色を変更することだ。

上図のように、モノクロ(モノトーン)の配色を選択すると、洗練されたイメージのグラフに改善できる。

このように「グラフの色」は、見た目の印象に大きな影響を与えるものとなる。「色の変更」コマンドで手軽に配色を変更できるとはいえ、ここには数パターンの配色しかなく、そのバリエーションは多くない。「濃→薄」と「薄→濃」を同じ配色と考えると、モノトーンの配色は全部で6種類しか用意されていない。

Webを活用して好きな配色を見つけ出す

もっとバリエーション豊かな配色でグラフを作成するには、自分で一つひとつ色を指定していく必要がある。とはいえ、見栄えのよい配色にするのは意外と難しく、非常に時間のかかる作業となる。色のセンスも問われるだろう。

このような場合は「配色のサンプル」を紹介しているWebサイトを利用するとよい。「配色」や「color scheme」、「color pattern」などのキーワードでWeb検索すると、こういったWebサイトを見つけられるはずだ。

たとえば、第15回の連載で紹介した「SchemeColor.com」や「Palettable」などを利用すると、キレイな配色を簡単に見つけ出すことができる。

あとは各色のHEX値(#で始まる6桁の16進数)をコピーしてグラフの色指定に利用するだけ。この手順についても第15回の連載で詳しく解説しているので、よく分からない方はあわせて参照しておくとよい。

今回の連載では、モノトーンの配色を効率よく探し出す方法を紹介しておこう。モノトーン配色のHEX値を求めるときは、「Hex Color Blender」というWebサイトの使い勝手がよいと思われる。

このサイトを使うと、指定した2つの色をもとに「グラデーション化した配色」を自動作成できる。まずは「1番目の色」を指定する。この色は各自の好きな色で構わない。

グラフのデザイン用カラーパレットを自作して活用する

続いて「2番目の色」を指定する。こちらは「白」(#ffffff)または「黒」(#000000)といった色を指定すればよい。

最後に「中間色の数」を指定する。たとえば、ここに「5」の数値を指定すると、「1番目の色」+「中間色5色」+「2番目の色」の計7色のグラデーションカラーを作成できる。

あとは、下部に表示されているHEX値をコピーして、色の指定に利用するだけ。これでオリジナルのモノトーン配色を指定できるようになる。

グラフ用のカラーパレットの作成

このようにWebサイトを利用すると、オリジナルの配色でグラフを作成することが可能となる。とはいえ、グラフを作成する度に、その都度Webサイトで配色を探し出し、そのHEX値をコピーして……といった作業を行うのは、やはり面倒な作業といえる。

そこで、自分の好きな配色を集めた「カラーパレット」を準備しておくとよい。以下の手順で「カラーパレット」を作成しておけば、いちいちWebサイトで配色を探さなくても、オリジナルの配色で即座にグラフを作成できるようになる。

それでは「カラーパレット」の作成手順を解説していこう。まずは、新しいExcelブックを開く。新しいExcelブックが表示されたら、「挿入」タブにある「図形」をクリックして「四角形」の図形を選択する。

続いて、マウスをドラッグして「四角形」の図形を描画する。このとき、「Alt」キーを押しながらマウスをドラッグすると、「セルの枠線」に沿うように図形を描画できる。

「四角形」の図形を描画できたら、図形を右クリックして「塗りつぶし」→「塗りつぶしの色」を選択しよう。

「色の設定」ダイアログが表示されるので、「ユーザー設定」タブを選択し、WebサイトからコピーしたHEX値を「Ctrl」+「V」キーで貼り付ける。「A~Fの大文字/小文字」や「#の有無」は自動補完されるので、特に気にしなくても構わない。

「OK」ボタンをクリックすると、「Webサイトで見つけた色」で図形が塗りつぶされるのを確認できるはずだ。続いて、この図形をもう一度右クリックし、「枠線」→「枠線なし」を指定する。

これで配色の1色目を「カラーパレット」に登録できた。次は2色目を作成していこう。先ほど作成した図形を、「Alt」+「Ctrl」+「Shift」キーを押しながらドラッグして複製する。ちなみに、それぞれのキーは以下の動作を指定する役割を担っている。

「Alt」キー:「セルの枠線」に沿うように移動する「Ctrl」キー:図形を複製する「Shirt」キー:移動方向を「水平」または「垂直」に限定する

「四角形」の図形を複製できたら、先ほどと同様の手順で「2色目の色」をHEX値で指定する。

このような操作を繰り返して、自分の好きな配色を「四角形」の色に指定していくと、以下の図のような「カラーパレット」を作成できる。

あとは、このExcelブックを「カラーパレット」などの名前でファイルに保存するだけ。時間の余裕があるときに、各自が見つけた「好きな配色」を次々とカラーパレットに追加していけば、次第に充実したカラーパレットへと育っていくはずだ。

カラーパレットを利用したグラフの色指定

最後に、自作の「カラーパレット」を使ってグラフの色をカスタマイズする方法を紹介しておこう。まずは、指定したい色の「四角形」をクリックして選択し、「Ctrl」+「C」キーでコピーする。

グラフを作成したExcelファイルを開き、色を指定したい図形を「ゆっくりと2回クリック」して図形を個別に選択する。

この状態で「Ctrl」+「V」キーを押すと、先ほどコピーした色で図形が塗りつぶされるようになる。

同様の作業を繰り返して、それぞれの図形に色を貼り付けていくと、「カラーパレット」と同じ配色のグラフを作成できる。

上図のようにモノトーンの配色はもちろん、カラフルな配色にも対応できる効率のよい作業手順として、覚えておくと役に立つだろう。自作の「カラーパレット」が充実してくれば、それだけ配色のバリエーションも豊かになるはずだ。

なお、この手法でグラフ(図形)の色を指定した場合は、通常の「塗りつぶし(単色)」ではなく、「塗りつぶし(図またはテキスチャ)」として扱われるようになる。特に大きなトラブルは生じないと思われるが、念のため覚えておく必要があるだろう。