追悼ボールマウス ~Amazonからボールマウスが絶滅した日~
平成の歴史はそのままITの歴史でもある。Windows 3.1が登場したのが1993年(平成5年)、Windows 95発売が1995年(平成7年)であり、パソコン通信がインターネットへと姿を変えて普及を始めたのもちょうどこの頃だ。PCで言うと、一体型PCのブームがあったり、また周辺機器ではCD-ROMドライブが全盛ということで、マルチメディアコンテンツがちょっとしたブームにもなった。
その3年後、1998年(平成10年)に登場したWindows 98の頃になると、PCはマニアの手を離れ、かなり一般的になっていた印象がある。Appleからボンダイブルーの初代「iMac」が登場したのもこの年で、もしハードウェアの変遷で年表を作るならば、この前後はかなり濃い出来事が集中していて、行数を増やさなくては収まらないボリュームになると見られる。
ちなみに現在では「5ちゃんねる」と名前を変えた2ちゃんねるが登場したのが翌1999年で、このあたりを機に、ユーザーの興味関心がPCからインターネットへと移り変わっていった印象が個人的には強い。といっても当時はまだブロードバンドの到来前、テレホーダイの全盛期でもあり、デスクトップPCのディスプレイも液晶ではなくCRTが主流だった時代だ。
そんななか、マウスがどのような変遷をたどってきたかというと、初代から継続してマウスが付属していたMacはさておき(この頃はちょうどPerformaの晩年にあたる)、Windowsについては3.1の時点ではまだマウスが必須ではなく、Windows 95でようやく標準添付となった経緯がある。USBマウスがサポートされたのは、Windows 95 OSR2からだ。
この頃は、壊れたマウスを買い替えるというニーズや、ノートPC向けのマウスを別途購入するというニーズを除けば、マウスはPC本体の付属品をそのまま使うのが一般的だった。若干風向きが変わり始めたのが、1996年にマイクロソフトが「IntelliMouse」を皮切りに高機能なマウスを投入し始めたことで、次章で紹介するマウスの一大変革が、そこから始まっていくことになる。
余談だが、筆者が初めて触れたマウスはPC用ではなく、1992年(平成4年)に発売されたスーパーファミコン用ソフト「マリオペイント」付属の2ボタンマウスである。これは「スーパーファミコンマウス」としても単品販売されていた品で、スーパーファミコンで絵が描けることが当時は画期的だった。まだ物珍しかったマウスという入力機器をユーザーに慣れさせるために、マウスを使ったハエたたきゲームなども同梱されていた。
今回この記事の執筆にあたり、Amazonマーケットプレイスで「マリオペイント」の中古美品を購入してみた。四半世紀を超えて再びこのマウスに対面できたことに感動を禁じ得ないいまあらためて見ると、マウスとしては非常に頑丈な作り。その後のPC用のボールマウスと比べるとボールの径も明らかに大きい実測してみると25mmあった。後年のPC用マウスのボールは21~22mmなので、二回りほど大きいことになる