特定のサイトにアクセスできない 試行錯誤で設定ミスに気づく
増大するトラフィックへの対応の一環として、IPv6を導入する企業が増えている。だがIPv4とは勝手が異なるIPv6の導入により、思わぬトラブルに発展することが少なくない。鹿児島県内を中心にIT機器の販売・レンタルやネットワーク構築などを手掛けるエヌオーエスも、そのようなトラブルに遭遇した1社だ。
同社は鹿屋市の営業所(鹿屋営業所)の新設に併せて、同営業所でIPv6対応のインターネット回線(以下、IPv6回線)を導入した。ところがこれにより、特定のWebサイトにアクセスできない事態に遭遇した。担当者はどのようにしてトラブルを解決したのか。その一部始終を紹介する。
トラブル発生時のネットワーク構成鹿屋営業所の開設時、営業所内のパソコンから特定のWebサイトにアクセスできないトラブルが発生した。[画像のクリックで拡大表示]新設の営業所にIPv6を導入
まず、同社が鹿屋営業所にIPv6回線を導入するまでの経緯を説明しよう。同社でネットワークの設計・構築・運用サービスを担当する永田 聡さんは、社内のシステム管理者も兼任している。2021年2月のある日、鹿屋営業所を開設するのでネットワークを構築してほしいと上司から依頼された。
本社のインターネット回線は、IPv4のPPPoE接続を使用している。新型コロナウイルスの影響によりビデオ会議が増えたことなどで、通信速度が著しく遅くなることがあった。このため新設する鹿屋営業所では、トラフィックの増加に備えてIPoE接続によるIPv6回線を導入することにした。
当初の計画では、営業所を開設する前にネットワークを構築する予定だった。しかし入居する部屋は、開設の直前まで前の入居者が使用していたので、開設日の2021年4月1日まで作業できなかった。
永田さんは同日の10時ごろから作業を始めた。IPv6回線を契約したプロバイダーのFAQサイトを参考にしながらルーターの設定を進めた。「本社のルーターはCUIベースで管理していましたが、営業所のルーターはGUIの管理画面で設定しました。このルーターでIPoE接続の設定をするのは初めてだったので、管理画面のウイザードに従って設定しました」(永田さん)。
本社のファイルサーバーや顧客管理用サーバーにアクセスするため、本社と営業所のネットワークはVPNサービスで接続。本社ネットワークがIPv4なので、営業所のネットワークはIPv4とIPv6のデュアルスタック構成にした。