Wi-Fi 6Eで飛躍的に増えるチャネル、その運用にはさらなる議論が必要?
圧倒的に増えるチャネル数がWi-Fi 6Eのメリット
そのWi-Fi 6Eのメリットとして挙げられているのは、圧倒的に増えるチャネル数と、これにより以前よりも高速につながる「場合が増える」ことにあるとする。特に以前のWi-Fi 6では160MHzチャネルは仕様上は定められていても、実際にそれを使える機会は非常に稀であった。6GHz帯を使うと、160MHzチャネルを利用できる機会は大幅に増えるだろう。
2.4GHz帯は言うまでもなく、5GHz帯も最近は混雑してきているので、利用周波数帯が増えるのはそれだけでありがたい。6GHz帯は、500MHz幅でも、従来の2.4GHz帯と5GHz帯を合わせたのと同等の帯域になるこれをもう少し細かく説明したのが下の図である。Channel width/number availableの説明は不要だろう。IEEE 802.11axで新機能として追加されたのが「AP discovery」で、Section 26.17.2.4に追加されることになっている(まだIEEE 802.11ax-2021がGet 802 Programの対象になっていない関係で、筆者も仕様そのものは確認できていない)。
5GHz帯のチャネル数が()付なのは、国によって5GHz帯が制限されている場合があるから(日本も以前は()内の状態だった)もっとも、Wi-Fi Allianceの側もこのAP Discoveryまわりに関してはIEEE 802.11axの標準化完了を待てなかったようで、実害はないだろうがDraft 5.0をベースに議論されていたりする。
そのAP Discoveryであるが、従来はIn-Band、つまり自分が利用する周波数帯(2.4GHz/5GHz)のみのDiscoveryしかできなかった。これがややこしくなるのは、アクセスポイント(AP)の側で2.4GHz帯と5GHz帯でしばしば異なるBSSが設定されており、さらに5GHz帯のうちでもLow Band(W52・W53)とHigh Band(W56)で別々のBSSになっているケースすらあったことだ。
となると、クライアントでAP Discoveryを行う場合、2.4GHzと5GHz×2を別々に探索する必要があった。これがIn-Band AP Discoveryである。そして6GHz帯に関しては、AP Discoveryを行う場合に6GHz帯に加えて2.4GHz/5GHz帯もBSS検索を同時に行うことで、結果的に目的のBSSを迅速に見つけられるようになった。これがOut-of-Band AP Discoveryであり、要するに6GHz帯以外(Out-of-band)も同時に検索する、というわけだ。