【アイコニックなスポーツクーペ復活へ】ボルボP1800シアン 420ps 2.0Lターボ 限定生産
ボルボP1800復活
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)ジーリー・ホイールディングスのモータースポーツ部門であるシアン・レーシングは、ボルボの象徴的な1960年代のスポーツクーペを、近代的にアップデートした「P1800シアン」を発表した。
この新モデルは、1960年代のサーキット・カーの、ロードカー・バージョンとして設計されたため、スタビリティ・コントロール・システム、ABS、ブレーキブースターなどの最新の運転支援機能は備えられていない。
ただし、包括的に再設計されており、大幅に強化されたパフォーマンス、ダイナミクス、およびドライバビリティを提供する。
オリジナルの自然吸気4気筒エンジンは、シアン・レーシングの2017年のマシン、ボルボS60 TC1で使用されている2.0Lターボに置き換えられる。
これによりP1800シアンは、420ps/46.5kg-mを発揮し、許容回転数は7700rpmを達成する。
オリジナルモデルのドライビング・エクスペリエンスを残すため、エンジンはパワーとトルクがリニアに発生するよう“調教”されている。
シアンは「自然吸気エンジンの特性」を生かしながら、パフォーマンスと精度を向上させたと述べている。
人気の高いボルボのレッドブロックや、5気筒ターボなど、さまざまなエンジンの搭載が検討されたが、モータースポーツの取り組みで知られているシアンは、新しいVEAモーターを選択している。
レース・エンジニアリング会社であるホリンジャーの、オーダーメイドの5速ギアボックスは、より正確なギアチェンジと耐久性を提供しつつも、オリジナルのユニットと同じ「機械的感覚」を味わえるという。
パワーは引き続きリアホイールに送られるが、P1800のライブアクスルによって、フロントエンドと同様、完全に調整可能な独立したリアサスペンションのセットアップが実現している。
また、トルクバイアス機能を備えたリミテッドスリップ・デファレンシャルも装備されており、優れたサーキットパフォーマンスと、オンロードでの走行性を組み合わせた、ギアリングとなっている。
軽量ボディ 990kg
車体構造については、機能強化のため、P1800のエンジンルームが再配置され、トレッドが広くなり、ボディは高強度鋼で補強されている。
プラットフォームは、エンゲージメントと軽さを重視してオーバーホールされた。
また、油圧サスペンションは、アルミ製のアップライト、ダブルウィッシュボーン、2方向調整可能なダンパーで構成されている。
補強されたカーボンファイバーのシャシーは、剛性が増し、重量増加が最小限に抑えられたものだ。
全体として、新しいモデルの重量はわずか990kgで、オリジナルのP1800より約150kg軽くなっている。
P1800シアンは、ピレリPゼロと18インチの鍛造リムのセットアップを、スチールブレーキ・ディスクおよび4ピストンキャリパーと組み合せている。
シアンは、初のロードカーである、2010年のボルボC30ポールスター・パフォーマンス・プロトタイプをベンチマークにしたという。
エンジニアリングの責任者であるマティアス・イブソンは、「ドライビングフィーリングと、パフォーマンスを引き継ぎたい」と述べている。
シアンCEOのクリスチャン・ダールは「当社は1996年にボルボモデルでレースするために、スウェーデンで設立されました」
「2017年には、わたし達のマイルストーンとなった、初の世界タイトルをボルボモデルで獲得しました。それ以来、2つの世界タイトルを獲得しています」
「今まさに歴史を振り返る時だと感じています」
「新しいボルボP1800シアンは、わたし達の伝統を表す、ブルーとイエローのレーシングカラーを採用しました」
P1800シアンは、ごく少量の限定スペシャルバージョンとなり、シアン独自の販売網で、50万ドル(5300万円)から提供される見込みとなっている。
以前、ボルボのポールスター・パフォーマンス部門として運営されていた、シアンレーシングは、3年連続で世界ツーリングカー選手権で優勝しており、2019年にはLynk&Co 03で頂点を極めている。
画像 ボルボP1800シアン、ボルボP1800【オリジナルとスペシャルモデル比較】 全122枚