Amazon製品が5GHz帯Wi-Fiにつながらない時の対処方法(Fireタブ・Fire TV・Echoなど)
Amazon Echo や Fire HD タブレット、Fire TV Stick などの Amazon 製品で、5GHz 帯の Wi-Fi アクセスポイントに接続できない場合の対処方法をまとめておきます。
具体的には、Wi-Fi アクセスポイントの一覧画面で 5GHz 帯のSSIDだけが全く表示されない、または、一部のSSIDしか表示されない症状の対処方法です。
5GHz 帯は 2.4GHz 帯より混雑していませんし、電子レンジの影響も受けづらい周波数帯ですから、使えるなら使いたいですよね。
当サイトがへ確認したところ、5GHz帯Wi-Fiに対応した Amazon 製の日本向け製品については、全て「W52」という規格にのみ対応しているとの回答が得られました。
「W52」というのは5GHz帯Wi-Fiの規格名で、36, 40, 44, 48ch の4つチャネルの周波数帯だけを利用できます。
5GHz帯の Wi-Fi 規格には、「W52」の他にも「W53」「W56」などが定義されていますが、後述のとおり「W52」以外は日本の気象レーダーと干渉する周波数帯を利用しているため、国内法によって複雑な制御が義務付けられています。
Amazon はその複雑な仕様を嫌ってか、少なくとも日本向け製品については「W52」規格にのみ対応させるポリシーを通しているようです。
このポリシーは、Fire HD タブレット、Fire TV、Fire TV Stick、Amazon Echo、Amazon Echo Spot など、機種を問わず一貫しており、Amazon 正規の日本向け製品であれば、必ず「W52」にのみ対応となっています。
ということで、Amazon 製品を5GHz帯Wi-Fiに安定して接続するには、無線LANルーター側の設定を変更するしかありません。
具体的には、無線LANルーター側で、以下のいずれかの設定が必要になります。
手元の環境で確認したところ、NEC系のWi-Fiルーターでは、「サーチ対象帯域」をまとめて設定できる項目がありました。
この設定を「W52」のみにしたところ、Amazon 製品でも5GHz帯のWi-Fiに安定して接続できることを確認しました。
また、手元のBuffalo製ルーターでは、5GHz帯の「無線チャンネル」を36,40,44,48のいずれかに設定すれば、安定して接続できました。
参考までに、こちらが、Fire HD 8 で5GHz帯に接続したときのスクリーンショットになります。
一般的に5GHz帯は2.4GHz帯よりも空いていますが、今回の方法で利用チャネルを絞ったルーターの5GHz帯Wi-Fiは混雑しやすくなるため、同じルーターの5GHz帯に接続したその他の機器の通信速度が落ちる、などの影響が出る場合があります。
我が家では無線LANルーターを2台用意し、1台は5GHz帯を Amazon 機器専用に設定、もう1台はPC/スマホなどの接続用に幅広いチャネルの5GHz帯を利用できるよう設定してあり、この構成でうまく運用できていますが、無線LAN機器を1台で運用される場合は、このあたりについて注意した方が良いと思います。
環境によっては、Amazon 機器では割り切って2.4GHz帯を利用する、というのも1つの選択肢かと思います。
念のため書いておくと、ルーター側でこれらの設定を行わなくとも、Amazon 製品が 5GHz 帯の Wi-Fi へ接続できてしまうことが無いわけではありません。
ただし、無線LANの接続チャネルは周囲の電波利用状況などによって随時変わりますので、何らかの拍子に接続が切れ、再接続もできない状態となってしまう場合があり、安定しないケースも少なくありません。
そういう意味では、Wi-Fi 接続が不安定な場合にも、5GHz 帯の Wi-Fi に接続していないか、また、ルーター側が「W52」になっているかを確認すると良いでしょう。
もう少しだけ踏み込んで、無線LANと気象レーダーとの干渉に関する詳しい情報をまとめておきましょう。
前述のとおり、5GHz帯Wi-Fi規格である「W52」「W53」「W56」のうち、「W53」「W56」の2つについては、日本の気象レーダー等と干渉する「DFS(Dynamic Frequency Selection)チャンネル」を使用しており、干渉防止仕様の実装が法的に強制されています。
これは具体的には、起動後1分間は電波を吹かないであるとか、気象レーダーを検知した場合はそのチャネルを30分間は使わない、などの細かな制御が義務付けられているのです。
人が画面を常時見ているPCやスマートフォンなどのデバイスでは、DFSの制御が問題になることは少ないですが、画面の無いスマートスピーカーのようなデバイスの場合、使用感の低下につながりやすそうです。
現時点ではまだ、そういった問題が大きくクローズアップされることはないようですが、今後、5GHz帯に対応した Amazon 製以外のスマートスピーカーで再接続処理がヘボかったりすると、こういった話を耳にする機会が出てくるかもしれません。
DFS 認証は日本だけでなく海外でも実施されており、特に欧州を中心に似たような問題が取り沙汰されることがあります。
推測にはなりますが、恐らく Amazon は使用感やコストなどの総合的な観点から、我が国の DFS 認証を避ける目的で日本向けデバイスでは「W52」のみ対応としているのではないでしょうか。
なお、5GHz帯Wi-Fi は、具体的には、802.11 ac / n / aなどの名前で規格化されており、アクセスポイント名の最後に「~-A」などの名前が付いていることが多いです。