経済・IT iPhoneの「コピペ」機能をもっと便利に使う裏技
コピー&ペースト、いわゆるコピペは、iPhoneの中でもっとも利用されている機能の1つではないか。メールの本文から検索したい文字列をコピーしてSafariにペーストしたり、サイト閲覧中に発見した気になる文章をメモアプリにコピーして残しておいたり、リンクが張られていない住所をコピーしてマップで実際の場所を調べたりと、用途はさまざま。活用の幅を考えると、コピペは基本中の基本と言える機能と言ってもいいだろう。
単にコピー&ペーストするだけなら操作を知らない人は少ないと思うが、より効率的にこれを行う方法はあまり知られていない。また、OSがバージョンアップするに従い、徐々に操作方法の選択肢は増えている。実際、9月に配信されたiOS 15、iPadOS 15では、アプリをまたがったコピペの方法に新たな操作が加わった。さらに、アプリを使って、コピーした複数のテキストを管理する方法もある。ここでは、そんなコピペにまつわる最新の裏技を紹介していきたい。
アプリをまたがったコピペは、意外と手間がかかる。文章の場合、いったんコピーしたい範囲を選択したあと、メニューから「コピー」なり「カット」なりを選び、アプリを終了させる。その後、ペーストしたいアプリを開いてから、文字をペーストしたい場所を選択して、メニューから「ペースト」を選択する必要がある。操作の流れはパソコンなどと同じで、迷うことは少ないものの、わざわざメニューを出すのが少々面倒。タッチで操作するiPhoneにとって、ベストな方法とは言いがたい。
テキストや画像をドラッグしたままホーム画面に戻り、別のアプリを立ち上げるとそのままペーストできる(筆者撮影)そんなコピぺを、よりダイレクトに行う方法がiOS 15で導入された。ただし、両手を使う必要があるため、あくまで机やテーブルの上に置きながらiPhoneを操作できるとき限定の技になる点には注意してほしい。その方法は、次のとおりだ。まず、iPhoneでコピーしたい文字や画像を表示させる。文字の場合は範囲選択したあとに長押し、画像はコピーしたい画像を長押しする。そのまま、少しだけ指を動かすと、テキストや画像が浮いたような状態になるはずだ。
少々トリッキーな操作になるが、このテキストや画像が浮いた状態を維持したまま、ホーム画面に戻る。ホーム画面に戻るには、iPhone X以降のホームボタンがないiPhoneの場合、画面を下から上にフリックする必要がある。人差し指でドラッグしたまま親指でフリックすればホーム画面に戻れるが、より確実に操作したいなら、もう一方の手を使うほうがいいだろう。ホーム画面に戻ったら、選択したテキストや画像をペーストしたいアプリを開く。
そのままアプリを操作し、ペーストしたい画面に移動させると、テキストや画像の端に「+」のマークが表示される。これがペーストできる証拠。逆に、例えばテキストしか入力できない欄に画像を配置しようとすると、このマークが表示されない。
少々操作方法は複雑だが、この方法を使うと、コピーやペーストといったメニューが表示されないアプリにも画像を移すことが可能になる。例えば、ウェブサイトに表示されている画像を、写真アプリに移したい場合、サイトによっては画像を長押ししても、「写真に保存」のメニューが出ないケースがある。このようなときに、有効だ。複雑ながら、メニューを操作するより直感的で、手数が少なくなるのもメリットと言えるだろう。
範囲を選択したあと、メニューからわざわざ「コピー」や「ペースト」を選ぶのはひと手間かかる。先に挙げたドラッグによるコピペはその操作を少しだけ直感的にするためのものだが、このメニュー操作を飛ばしてコピーとペーストを一発で行う方法もある。3本指によるピンチイン、ピンチアウトがそれだ。この操作はiOS 13で導入されたもの。3つの指が必要になるため片手操作には向かないが、電車での移動中など、両手を使えるときに便利だ。
3本指でのピンチイン、ピンチアウトを駆使すれば、メニュー操作の必要なくコピペができる(筆者撮影)方法は以下のとおり。まず、コピーしたいテキストの範囲を選択する。次に、3本の指を画面に当てて、そのままテキストをつまむようにピンチインする。これで選択した範囲がコピーされた状態になる。次にペーストしたいアプリを開いて、ペーストする場所を選択。同じく3本指を使って今度はピンチアウトすれば、先ほどコピーしたテキストが張り付けられる。
3本指でテキストをつまんで、それを離すというふうに覚えれば、なぜこのようなゼスチャーになっているのかが理解しやすいかもしれない。この3本指での操作では、コピーだけでなく、カットすることも可能だ。カットの利用シーンは限定されるが、メモアプリ等で文字を編集しているときに使える操作と言えるだろう。
操作方法は次のとおり。3本指でピンチインするところまではコピーと同じだ。そのあと、もう一度同じように3本指でピンチインを繰り返す。つまり、2回連続で3本指を使ってピンチインするということだ。これで、テキストをカットすることができる。ペーストしたいときには、同様に3本指でピンチアウトすればいい。両手持ちしているとき限定の技だが、メニューのタップをせず、スピーディに操作したいときに使ってみてほしい。
コピペは、端末内のクリップボードと呼ばれるメモリの領域にテキストなり画像なりを保存し、それを張り付ける仕組み。ただし、iPhoneの場合、別のテキストや画像をコピーすると、前のものが消えてしまう。複数のテキストをコピーしておき、あとからまとめてペーストして文章の体裁を整えるといった使い方ができないのは少々残念だ。とはいえ、それは何もしなければの話。クリップボードはアプリで拡張することができる。
筆者が使用しているのは「コピペ+」というアプリ。アプリを開くかウィジェットを表示するだけで自動的にコピーしたテキストが保存され、一覧はウィジェットで確認できる。コピーしたテキストを活用したいときは、「コピペ+」の一覧から必要なものを選び、再びiPhone側のクリップボードにコピーするだけだ。複数のテキストを保存しておけるアプリを間に挟むことで、疑似的にクリップボードを拡張したような形になる。
画像は「コピペ+」。ウィジェットに複数のコピーしたテキストを保存しておくことができる(筆者撮影)ただし、ウィジェットはiOS 14で導入されたホーム画面上にアイコンと一緒に並べられる形式のものではなく、それ以前からあったホーム画面の左側に並ぶ旧型式のもの。そのため、コピーしたテキストを保存するには、いったん開いているアプリを終了させる必要がある。
また、「CopyCenter2」というアプリの場合、コピーして保存しておいたテキストを、カスタムキーボードから直接呼び出すことができる。複数のテキストをコピーしておけば、アプリ本体を開く必要なく、キーボードを呼び出すだけで順番に張り付けられるというわけだ。こちらのアプリは、iOS 14以降の新方式のウィジェットに対応している。
アプリ内に複数のフォルダを作れるため、例えば住所や電話番号といった、頻繁に入力する個人情報をあらかじめ入力しておき、必要なときだけキーボードから呼び出すといった、コピペの枠を超えた使い方もできる。簡易的なID、パスワード管理アプリとしても利用可能。iPhoneのコピペをさらに便利に使いたいときには、こうしたアプリを活用するといいだろう。