iOS 15では音声入力やボイスメモも強化 テキストカーソルの拡大ルーペも
iPhoneでテキスト執筆や音声録音などを行えるのは便利だ。それが許されるかどうかは環境によって変わるだろうが、人によっては欠かせない機能だろう。フリーランスとして働く筆者も、MacBookやiPadに加え、iPhoneも立派な仕事道具の1つとして使用している。実際、記事によっては、iPhoneだけで取材、執筆、撮影、画像整理までをこなすこともある。
そんな視点で、今秋にリリースされたiOS 15では、幾つかの頼れるアップデートがあった。本稿では、(1)テキストカーソルがより便利になったこと、(2)音声入力が強化されたこと、(3)ボイスメモの機能が強化されたこと――の3点について解説したい。
iOS 15ではボイスメモ機能も拡張されたどこにテキストを入力するのかを指定する際に、位置を示すために表示されている縦線が「テキストカーソル」だ。ソフトウェアキーボードの「空白」を長押しすることで、このテキストカーソルを操作できる。また、画面をタップしたり長押ししたりしてもカーソルの位置を指定できる。ただし、後者の場合、指で直感的に指定できる一方で、画面表示が隠れてしまい、どこを指定しているのか分かりづらいというデメリットもあった。
iOS 15では画面を長押ししてテキストカーソルを表示させた場合に、すぐ上部に拡大ルーペが表示されるように改善されている。直感的かつ正確に操作できる方法なので、ぜひ覚えておきたいテクニックの1つだ。
画面の長押しでテキストカーソルが表示される際に、拡大ルーペが表示される(写真=左)。ソフトウェアキーボードが表示されていない状態で長押しすると、選択ツールになるが、この場合も拡大ルーペが表示される(写真=右)iOSではソフトウェアキーボード上に表示されるマイクのアイコンをタップすることで、音声入力を利用できる。文字通り、口で話した言葉を自動で認識して、それをテキストとして入力してくれる機能だ。滑舌よくはっきりと話す必要はあるが、シーンによっては手でキーボードを操作するよりも容易に長文を入力しやすい。
iOS 15における音声入力に関するアップデートについては、2つ覚えておきたいポイントがある。1つ目は、日本語を含む複数言語の音声入力が、オンデバイス処理になったこと。要するにインターネット接続がない状態でも、音声入力が行えるようになった。
2つ目は、一度の音声入力における制限時間がなくなったこと。これまでは60秒間という制限があったが、iOS 15ではこれがなくなり、テキストの長さに関わらず音声入力ができるようになっている。
ソフトウェアキーボードでマイクのアイコンをタップすると音声入力が利用できる(写真=左)。機内モード(Wi-Fi接続なし)の状態で、本記事の元原稿で冒頭に書いていたテキストを読み上げ、音声入力を試した。話し方にはコツがいるものの、「本稿」が「本校」に誤変換されている以外は、特に気になる間違いはなく、高い精度で認識された(写真=右)「ボイスメモ」アプリについては、3つの進化点を覚えておきたい。1つは「無音スキップ」機能が搭載されたことだ。同機能を有効にして録音を再生すると、自動で音声を認識し、音がないところを自然にスキップしてくれる。インタビューで言えば、インタビューイが考え事をしている時間などの余白がカットされることになるので、再生時に無駄な時間を省けるわけだ。
2つ目は、再生速度の変更ができるようになったこと。速度を全7段階で調整できるので、議事録の文字起こしなどをする際に、話し手のスピード感に合わせた速度の微調整を行いやすい。ざっと全体を把握したい場合にスピードを速くして聴き、重要な部分をゆっくり確認するといった使い方も便利だ。
「ボイスメモ」アプリの録音データ左下に表示されるアイコンをタップ(写真=左)。「無音をスキップ」のオン、オフを切り替えたり、「再生速度」のスライダを調整したりすることができる(写真=右)3つ目は、複数のボイスメモを同時に共有できるようになったこと。チームメンバーに複数の録音データを共有したり、PC側にバックアップを取ったりする場面で、活躍するだろう。
複数の録音データを共有したい場合には、「ボイスメモ」アプリの画面右上にある「編集」をタップ(写真=左)。録音データを指定し、左下の共有アイコンをタップしよう(写真=右)