新品購入は何年ぶりか!? 高性能でコンパクトな「ThinkPad X1 Nano」を買ってみた!
ThinkPadにこだわる理由
ThinkPadを使い続ける理由は明白で、“赤ポチ”こと「トラックポイント」があるからだ。キーボードの「G」、「H」、「B」の中央に埋め込まれた赤いポッチに軽く力を込めて触れることでマウスと同等の操作ができる。キーボードの領域内でマウス操作が行なえるため、操作の切り替えを意識せずに行なえるので、1度慣れてしまうとその効率の良さはかなりのものだ。
以前はデスクトップPCではマウスを使っていたので、色んなマウスの動作も楽しんでいたが、近年ではデスクトップPCでもレノボが発売する「ThinkPad トラックポイントキーボード」のトラックポイントで済ますようになってきたので、マウスを触るのが週に1度あるかないかのレベルとなっている。
そういう意味では、ThinkPadにこだわる必要はなく、スティック型のポインティングデバイスさえ装備してくれていれば、どこのノートPCでもかまわないのだが、昨今のメーカー各社はどこも採用してくれない。
また、トラックポイントも魅力だが、それと同じくらいキーボードのタッチ感の相性の良さもThinkPadを使い続ける理由の1つだ。ThinkPadのキーボードと言えば、こだわりで使う同業者も多い逸品だが、あまり柔らかすぎず、それでいて芯のある打ち心地。パスタで例えるならアルデンテのようなものだ。
英語キーボードを使う理由はこちらの方がキー数が少ないから。キーが少なければ当然レイアウトはより柔軟に行なえるし、キーサイズも大きくしやすい。
英語キーボードについてはそもそも国内で購入する際にオプションで選択できるメーカーが少ない。また、年中金欠の筆者の場合、すべての機材を新品で買うわけではなく、中古で買って後からカスタマイズするという導入も多い。このとき、英語キーボードの部品をオークションやAmazonなどで購入するのだが、ThinkPadの英語キーボードは他社の部品と比べると圧倒的に購入しやすい。
以上のような理由から、筆者にはThinkPadしか選択肢がないのが現状なのだ。
デスクトップでも最近はレノボの「ThinkPad トラックポイントキーボード」を愛用している。これまでは何があろうと有線派だったのだが(奥)、有線接続部を着脱可能なMicro USBなどにしているため、コネクタが緩んできて使えなくなる問題があったので、ワイヤレスモデル(手前)を試してみたところ、これがかなり良好これまで新旧問わず数多くのThinkPadに触れてきたが、とくに印象に残っているのは20年も前に発売された「ThinkPad s30」だろう。この機種は今でも1台手元に残しているが、B5ファイルサイズながらもフットプリントをオーバーするフルサイズキーボードを備える唯一無二の斬新なデザイン、ミラージュブラックの光沢天板の美しさと、それでいてコンパクトさを両立する本体は今なお魅力の1台だ。
キーボードの部分だけが出っ張る形のユニークデザインの「ThinkPad s30」はかなりお気に入りの一品。まぁ欲をいえばバタフライキーボードの「ThinkPad 701」が最高なんだが今回は割愛。じつは当時使っていた英語キーボードモデルは手元になく、こちらはとりあえず天面がミラージュブラックの光沢天板のモデルを1台手元に置いておきたくて後から買った日本語バージョンだまた、2010年発売の「ThinkPad X201s」もかなり印象深い。12.5型/1,440×900ドットと当時としてはなかなか高精細なワイド液晶を搭載し、最上位モデルではArrandale世代のCore i7-620LMを内蔵するなど、今でもキッチリメンテナンスすれば現役で使用できるレベルだ。筆者手持ちのX201sは無線LANデバイスが死亡したり、内蔵SSDが不調になるなど、現役復帰させるにはハードな状態になってきてしまったため、継続利用を諦めた。
じつは予備機として、OSも最新にアップグレードしている「ThinkPad X201s」。個人的には初めて手にしたワイドディスプレイ搭載ThinkPadで、かつ解像度が1,440×900ドットとXGA解像度以上のThinkPadとの出会いも印象的な1台だ。X201sが不調になってきたので、次を探すことになったが、トラックポイント的事情と10~12型のコンパクトサイズがストライクゾーンの筆者にとって、ベースの選択肢は当時ThinkPad X200番台のシリーズしかなかった。ところがこれ以降登場するX200番台のシリーズは筆者にとって魅力だった機能がどんどんなくなっていくのである。
まずX220以降、タッチパッドが搭載されるようになった。個人的にはトラックポイントのみを搭載することでパームレスト部をあまり取らない作りのデザインが好みだったのだが、タッチパッドの搭載により、パームレスト部がかなり大きくなってしまった。時代の流れもあり、ひじょうに残念な変更点だが、これはこれで慣れると使いやすいので最近は気にしていない。ただし、誤作動することが多いため、設定でタッチパッドは必ずオフにしている。
次にX230以降、キーボードの種類がアイソレーションタイプに変更になった。キータッチや打ち心地などがかなり変化してしまうが、こちらも仕方がないところと割り切っている。とはいえThinkPadのアイソレーションは割と筆者と相性がいいようで、おそるおそる使ってみると割と短時間で慣れることができたので、これもこれでヨシとしている。
こうした事情もあり、X201s以降、何を使うか試行錯誤を繰り返していた筆者が次に目をつけたのが2015年発売の後期「ThinkPad Helix」だ。「ウルトラブックプロキーボード」装着により、ThinkPadらしいトラックポイント付きキーボードが利用でき、CPUはCore M-5Y71、メモリ容量は最大8GB搭載可能、ディスプレイは11.6型とコンパクトサイズながら、ペン対応タッチパネル内蔵のフルHDディスプレイによるタブレットということで、これを気に入って購入してからは、つい先月までメインのライティングツールとして使用していた。
先月まで現役で使っていた「ThinkPad Helix」。メモリ8GB搭載、Core M-5Y71搭載タブレットにウルトラブックプロキーボードをドッキング。正直なところ、このキーボードがもっと色んなタブレットに装着できるなら、それでもいいかも。難点はちょっと重いことくらいで現在も予備機として初期化して手元に残している。とはいうものの、やはりメモリ8GBのCore Mシリーズでは、だんだんと日々の作業が苦痛になっていく。ブラウザ動作が重くなり、画像処理でも妙なエラーが多発する。こうした細かいエラーの積み重ねは作業のやる気に悪影響を及ぼす。買い替え時だな、とは以前から考えていた。ところが、11.6型サイズの「ThinkPad Helix」シリーズは後継モデルが出る気配がない。そんなタイミングで筆者の目に止まったのが、今回紹介する「ThinkPad X1 Nano」だったのだ。
これまでも何度か「ThinkPad X1 Carbon」シリーズについては、興味を持ち、実際に中古で買って試してみたこともある。だがやはり14型はサイズが大きく、筆者の狭いテーブルには向かない。
今回「ThinkPad X1 Nano」に惹かれた一番の理由は、なんといってもそのサイズと内蔵パーツだ。13型の2Kディスプレイを搭載ということで通常のCarbonシリーズと比べて少し小さく、重量1㎏未満と軽量なのも嬉しいポイントだ。
また、サイズが小さく軽量化しているとなると、内蔵パーツで妥協する場合が多いが、今回はメモリ容量最大16GBが選択可能で、EVOプラットフォームに準拠。プロセッサは最新11世代Core i7-1160G7で、内蔵グラフィックスが大幅に強化されているのでゲームもできる! ……まぁゲームをやる気はないが、やるやらないではなく、できるというのが重要なのだ。ぶっちゃけここ5年ほど自作を含めてあまり新しいパーツを自腹で買っていなかったのでここらで久々に最新のCPUに触れてみたかった、というのもある。
ということで、久しぶりに新品のThinkPadを購入する運びとなったので、その様子を紹介したい。なお、製品自体のレビューは平澤氏により掲載されているので、ベンチマークや製品の詳細などはそちらをご覧いただきたい。