パスピエの“ありのままの創作”。『ニュイ』から探る今のモード
フランス語で「夜」を意味する「ニュイ」と名付けられた、7作目のアルバムをリリースしたパスピエ。バンド名もフランスの作曲家、クロード・ドビュッシーの組曲から取られていることもあり、語感からもどことなく親和性を感じる作品だ。《今こそあけぼの》と歌われる「深海前夜」は、成田ハネダ(key)が音楽的にも手応えを感じたという曲であると同時に、本作に込められたメッセージをうっすらと浮かび上がらせる曲でもあるのだろう。「ニュイ」というタイトルについて大胡田なつき(Vo)は、“世界が明るく夜明けを迎えていくといいな”、という願いを込めたと語っている。
爽やかな気分を感じるニューウェイブ「グッド・バイ」、開放的なメロディと歪んだサウンドを結びつけた「言わなきゃ」、EDMからの影響を落とし込んだという「はらりひらり」、そしてここ数年取り組んできたヒップホップを咀嚼していく方向性から生まれたであろう「ミュージック」など、相変わらず1曲ごとに強烈な個性を打ち出していく作風が印象的である。大胡田が書く陰影に富んだ歌詞も美しく、クリエイティブには益々磨きがかかっているように思う。“ありのままの創作”をしているという今のパスピエのモードについて、成田と大胡田のふたりに語ってもらった。
新たな表現法を見出した「グッド・バイ」
捉え所がないものが好き
多種多様なジャンルから影響を受けたポップソング
ありのままの姿を収めた『ニュイ』
Presented by.DIGLE MAGAZINE