30

Oct

『ウマ娘』なぜGoogle Play Games版リリース? “長期的な成功”見据えた戦略に迫る

『ウマ娘 プリティーダービー』

 『ウマ娘』なぜGoogle Play Games版リリース? “長期的な成功”見据えた戦略に迫る

3月16日、『ウマ娘 プリティーダービー』がGoogle Play Games向けに開発中であることが明らかとなった。【画像】“ウマ”たちの個性的なキャラクターやハイクオリティなレース・ライブで大ヒット中の『ウマ娘 プリティーダービー』 2021年を代表するモバイルゲームとして、あまりにも有名な同作。Google Play Gamesへの対応には、どのような可能性が眠っているのだろうか。同プラットフォームの特徴を踏まえ、その意義を考えていく。・リリース間近と噂される話題の新プラットフォーム「Google Play Games」とは Google Play Gamesは、Windows PC上で特定のモバイルゲームのプレイを可能にするアプリケーションだ。2021年12月に開催されたイベント『The Game Awards 2021』で存在が明らかとなり、翌1月には、香港、韓国、台湾のマーケットを対象に非公開のβテストがおこなわれていた。同アプリを活用することでユーザーは、本来タップで操作しなければならなかったモバイルゲームを、キーボードとマウスを使って操作できる。ゲームデータはGoogleアカウントを通じてリアルタイムに同期されるため、モバイル端末で中断したゲームプレイをPCで再開することも可能だ。現時点でリリース日は未定だが、そう遠くない時期だと予想されている。『ウマ娘 プリティーダービー』はGoogle Play Gamesへの対応で、3つの環境(Android/iOS、DMM GAMES、Google Play Games)でプレイできるタイトルとなる。・Google Play Games版の開発とリリースに眠る、『ウマ娘 プリティーダービー』の可能性 Google Play Games版の開発とリリースは、『ウマ娘 プリティーダービー』を取り巻く環境にどのような変化をもたらすのだろうか。今後の動向を考える上で重要なポイントとなるのが、同作が話題の新プラットフォームのローンチタイトルとなる意義についてだ。 『ウマ娘 プリティーダービー』は、2021年2月24日にサービスが開始された。開発発表から約5年、当初のリリース予定日から約3年が経過していたことで懐疑的な視線が注がれるなかでのスタートだったが、フリークたちの予想を上回るクオリティから、あっという間に2021年を代表するタイトルにまで上り詰めた経緯がある。先月末でちょうど1周年を迎えた同作。この1年の勢いを維持したまま、次のステージを迎えられるかはこれからが正念場だ。 基本プレイ無料・アイテム課金型のビジネスモデルにとっては、プレイヤー数と課金額の維持が、“瞬間風速”以上に重要となる。『ウマ娘 プリティーダービー』もこれまで幾度となく、「古参プレイヤーの脱落」と「新規プレイヤーの獲得」の狭間で試行錯誤してきただろう。スタートダッシュを決めたタイトルほど、この分岐点は多くなるはずであり、ここをどう乗り越えるかが、長期的な視点での成功へとつながっていく面がある。同作がモバイルゲーム市場で覇権を握り続けるためには、絶対に避けて通れない道だ。 その視点で考えていくと、Google Play Gamesでのローンチタイトル化には、大きな意義を見いだせる。この出来事そのものが、(『ウマ娘 プリティーダービー』が)少なくとも直近のモバイルゲーム界隈を代表する1作と認められた裏付けであり、一連の露出と、そのタイミングにあわせて開催されるであろうキャンペーンによって、「本来脱落していたであろうプレイヤーの延命」「かつて遊んでいたプレイヤーの復帰」「新規プレイヤーの獲得」が同時に叶うことになるからだ。 これまでAndroid/iOSとDMM GAMESに対応してきた『ウマ娘 プリティーダービー』だが、PCブラウザ版である後者でも、ゲーム画面は縦表示のみだった。しかし、Google Play Games版では、公式のリリースにあるスクリーンショットを見てもわかる通り、一般的なPCモニターの形にあわせた横表示がデフォルトとなっている。かつて同作をプレイしていた、もしくは同作に現在進行形で興味を持っている層のなかには、この表示形式の変更により、積極的にプレイを検討する人間も一定数いるだろう。インターフェースに対する選択の自由や、それにともなう利便性の向上によって、既存のコンテンツが新たな没入を生む可能性も大いにある。たとえば、同作の楽しみ方のひとつであるウマ娘たちのウイニングライブの観賞においては、より上質な映像と音の再生環境が体験を一変させるだろう。 このようにGoogle Play Games版の開発とリリースには、『ウマ娘 プリティーダービー』という作品そのものにとって、さらには個々のプレイヤーや関係者、登場競走馬などにとって、さまざまな可能性が眠っていることになる。今後はアニメ3期の放送や、競馬ファンに人気の競走馬のウマ娘化、“大人の事情”でウマ娘化できない競走馬への条件緩和、リアル競馬との積極的なコラボレーションなどにも期待したい。同作が人気タイトルであり続けられれば、実在の競走馬・ナイスネイチャに多額のドネーションが集まったように、ふたたび現実の世界に前向きな影響も与えていけるだろう。 『ウマ娘 プリティーダービー』は、まだ1周年を迎えたばかり。近年屈指の覇権タイトルの今後から目が離せない。

結木千尋