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オーストラリア「雨爆弾」で歴史的な大洪水 ネズミはヘビで九死に一生

オーストラリア東部では24日(木)から大雨が降り続き、観測史上最悪ともいわれる大洪水が起きています。これまでのところ10人が死亡し、浸水被害が広がっています。そんな中、ヘビにしがみついて難を乗り越える生き物たちの写真が話題を呼んでいるようです。

「レイン・ボム(雨爆弾)」、当局がこう表現した、止まない大雨がオーストラリア東部を襲っています。外電によるとこれまで10人の死亡が確認されたもようです。

国内第3の都市、クイーンズランド州ブリスベン一帯では、24日(木)から強烈な大雨が降り続いて大規模な洪水が発生、18,000棟の家屋が浸水したと伝えられています。

ニューサウスウェールズ州のリズモアでは、夜間に予想を上回る大雨が降り、同市を流れるウィルソン川の水位が一時14.4メートルに達しました。これは1954年に出た観測記録を2メートルも上回ります。川が氾濫し、濁った泥水が町に流れ込み、ガソリンスタンドは屋根だけ、ファーストフード店は回転する看板だけが見えている状況です。

リズモアでは多くの人々が逃げ遅れ、屋根に上ったり、家の中から大声で叫んだりして救助を待っている人々が大勢いるといいます。

年降水量の4分の3が5日で

一体どれほどの雨が降ったのでしょうか。

 オーストラリア「雨爆弾」で歴史的な大洪水 ネズミはヘビで九死に一生

ブリスベンの降水量を見てみましょう。気象局のサイトをのぞいてみると、24日(木)からの5日間で約750ミリの雨が降ったようです。2月の平均月間降水量は約150ミリですから、その5倍に相当します。またブリスベンの年間降水量は1,100ミリですから、たった5日間で1年間に降る雨の4分の3が降ってしまったことになります。

また、クイーンズランド州グロリアス山では、5日間で1,700ミリを超える凄まじい量の雨が観測されました。参考までに、これは東京の年間降水量に匹敵します。

大雨の原因

大雨の直接的な原因は、オーストラリア東部沖に発生している低気圧、いわゆる「東岸低気圧」と呼ばれるものです。これが沖合でゆっくり南に進んでいます。

そのうえラニーニャ現象の影響で、この海域が例年よりも温かくなっており、それによって空気中にたくさんの水蒸気が補給され、大雨が降りやすくなっていることも関係しているようです。

シドニーの昨年11月から今年2月までの総降水量は、1991年から1992年の夏以来最大となり、過去30年でもっとも雨の多い夏を記録しました。

”ヘビの箱舟”

目を丸くするほど大量の雨が降っているオーストラリアで、思わず目を細めてしまうような光景がカメラに収められ、話題を呼んでいます。下がその写真、動画はこちら(TikTok)から見られます。

撮影者が雨水タンクの中をのぞいてみると、そこには三つ折りになって水に浸かるヘビの姿がありました。カメラを近づけると、ヘビの背中にかわいい2匹のネズミと、緑色のカエルがしがみついています。映像はここで途切れますが、上の写真でネズミの右に映っている黒い小さな生き物が、カエルの背中にちょこんと乗っかった画像も拡散されています。

ヘビに食べられる危険よりも、溺れる方がマシだったのでしょうか。まさに「溺れる者は"ヘビ"をも掴む」。一方のヘビのほうも、舌をちょろちょろ出していますが、襲う気はなさそうに見えます。災害時には助け合いが必要です。

雨の今後

雨はいつまで続くでしょうか。

ブリスベンなどクイーンズランド州では雨のピークは越えたようです。しかし低気圧が南に下がったため、シドニーなどがあるニューサウスウェールズ州では3日(木)にかけて大雨が続きます。1000年に一度の洪水も発生するかもしれないと、警戒が呼びかけられているほどです。