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May

もしもロックマンの武器がショベルだったら…レトロゲー感満載のドット絵2Dアクション『Shovel Knight』:Steam

PCゲームのダウンロード販売サイト『Steam』のゲームレビュー連載が、ASCII.jpで祝・復活! 週刊アスキーの連載は筆者が会社員として多忙を極めてきたため休筆させて頂いたのだが、めでたいことに今月から無職になったので連載を復活できる運びとなった。

復活のSteamゲーム発掘レビュー、第1本目はショベルを武器に戦う騎士の2Dアクションだ。昨年発売された「最近のゲーム」なのだが、味わいはどこか懐かいレトロゲー風味で最高に旨い。

かつて、土地が荒れていた時代。その伝説の冒険によってどの英雄よりも輝いていた“ショベルナイト”と“シールドナイト”。しかし、“運命の塔”にて彼らの冒険は途切れてしまう。

呪われたアミュレットが恐ろしい魔法を発動し、ショベルナイトが目を覚ましたとき、シールドナイトはその姿を消し、運命の塔も封印されてしまったのだ。ショベルナイトは精神を壊し、悲嘆にくれながら孤独に暮らすのであった。

そして英雄のいない世界は、邪悪な魔女によって支配されてしまった。

いま、運命の塔の封印は解かれた。世界に危機が迫るなか、シールドナイトを救うためのショベルナイトの新しい冒険が始まろうとしている……。

ショベルで農作業に励むショベルナイト。まんまである

というわけでプレイヤーはショベルナイトとなり、荒れた世界の冒険に出るのであった。

ゲーム内容はオーソドックスな2Dアクションであり、パッと見ではグラフィックのドット絵以外に目立った特徴はない――武器がショベルであるという点を除いて。

プレイはアクションゲームらしくゲームパッド向けに最適化されており、基本的な操作方法は左右移動のほかにジャンプと攻撃、上方向キーとアクションキーでのスキルの発動だ。

ショベルなので掘って宝石をゲットできる

ここまでの説明では「単に剣がショベルに変わっただけなのでは?」という印象を持つ読者もいるかもしれないが、岩を砕いたり壁を掘ったりといったショベルらしいアクションももちろん用意されている。

ジャンプ後下方向キーを押すとショベル攻撃

ステージはショベルという設定をうまく使った仕掛けが多く、操作していてとても楽しいぞ。ステージの先に進めるのはショベルのおかげなのだ。

そしてプレイしてすぐ感じるのは、「なんだか昔のあのゲームに似てるなぁ」だ。そのゲームとは……『ロックマン』である。

ステージの仕掛けやトラップなどもそうだが、グラフィックやサウンドも全体的にファミコンのロックマン調であり、遊んでいるとどこか懐かしい気持ちになってくる。

それでいて味わいは最新ゲーム。とくにサウンドのデキが素晴らしい。ただ、こればっかりは聞かないと分からないと思うので、公式トレーラーでもどうぞ。

もちろんほかのゲームからのオマージュも多数あり、各ステージに挑戦するためのマップは『スーパーマリオブラザーズ3』を彷彿とさせる。

雰囲気を重視したゲームの常として、音楽や効果音もよくゲームにマッチしている。30~40分ほどでクリアできるので、ぜひ遊んでみて欲しい。

っていうかまんまスーパーマリオブラザーズ3じゃないかコレぇ!!

つまり、ファミコン世代のゲーマーにピッタリなのだ。30代、40代のオッサンたち、一緒に大いに楽しみましょう!

そして何より楽しいのは各ステージのボス戦だ。ステージの最後には魔女の手下である敵の騎士が待ち構えており、それぞれが特徴ある攻撃でショベルナイトの行く手を阻んでくる。

「今さら何しにやってきた臆病者!お前の居場所はもうここにはない!」と煽るブラックナイト

ボス騎士は各ステージの特色にあった攻撃を繰り出してくるため、「ああ~、これは本当にロックマンだなぁ」と遊んでいてニヤニヤものだ。

さらに、ボス騎士は姿形もそれぞれ普通の騎士とは全く異なるため、これがまたロックマン風味を増している。

 もしもロックマンの武器がショベルだったら…レトロゲー感満載のドット絵2Dアクション『Shovel Knight』:Steam

個人的に大好きなのは撃破シーンだ。ボスを撃破すると画面がスローモーションになり、背景の色が連続で切り替わる。

この瞬間の「ボスを撃破した!」感が最高なのだ。とくに苦労した……つまりコンティニューさせられまくったボスほど達成感があり、それは思わず「やった!」と口に出してしまうくらいだ。

子供時代に置いてきた“ソロゲームのアツさ”が、Shovel Knightにはある。

また、Shovel Knightのシステムで面白いのは死亡時の設定である。ステージにはたくさんの即死トラップが仕掛けられており、死ぬと自分のゴールドの一部を袋にしてその場に落とす仕組みになっている。

ようするに、持ち金の一部を落とすのがデスペナルティとして設定されている。

リスタート時にこの袋を回収すればデスペナをチャラにできる

そして死んだ際はステージ各所にあるチェックポイントからのリスタートとなっており、“死んだらまたステージの最初から”というめんどくささはない。

各所にあるチェックポイント。死んだときはここからやり直し

一方で、じつはこのチェックポイントを破壊するとゴールドが手に入る。つまり、死なない自信があればチェックポイントを破壊することでさらにゴールドを稼げるのだ。

チェックポイントを破壊すると宝石が!

スタート地点からとなると難易度の高いステージほどまた死ぬ可能性が高く、ゴールドの袋を回収する前に死んでしまうと最初に落としたゴールドを回収することはできなくなる。新たなゴールドを落とした時点で、その前に落としたゴールドは消えてしまうのだ。

デスペナルティを防ぐためにチェックポイントを残すか、それとももっとゴールドを稼ぐためにチェックポイントを破壊する。

まさに金を取るか、リスクを取るかである。

ちなみに、ゴールドはライフポイントやアイテムポイントのアップグレード、装備やアイテムの購入に消費する。

装備する鎧によってさまざまな効果を得られる

また、ステージの各所にある青の宝箱からはアイテム(特殊能力)の購入ができ、「死ぬとゴールドを落とすから」と言ってゴールドなしで冒険していると、お金が足りなくてアイテムが買えない。なんてことも。

そして大金を持ったままステージに挑戦し、大量のゴールドを落とすわけである。ぐぬぬ……。

とまぁ以上がShovel Knightのざっくりとした魅力だ。遊んで貰えれば分かるがクオリティの高い作品に仕上がっており、「どれが魅力?」と聞かれても「とりあえず全部」としか答えようがない。

あえて欠点をあげるなら日本語なし(MODもない)だが、英語があまり読めなくてもゲームをプレイしていけばショベルナイトのシールドナイトへの思いがひしひしと伝わってくる。

じつは各ステージのクリア時にショベルナイトが野営をするのだが、そのときに夢を見ることがあるのだ。その夢では、毎回空からシールドナイトが降ってくる。

シールドナイトを救おうと手を伸ばすショベルナイト

ただそれだけのシーンなのだが、ここでショベルナイトを操作しているのが自分だからなのかこのシーンを繰り返すたびに切なくなってくる。シールドナイトを絶対に救わねば!

自宅にゲームパッドがあり、、、いや、たとえパッドがなくてもパッドとセットで買うべきゲームがこのShovel Knightだ。

なぜかこの原稿を書いているうちに海外では『amiibo』の発売も発表されており、Shovel Knightの人気がますます高まることは間違いナシだ。

海外発売のShovel Knight amiibo。公式サイトより

もしかしたらそのうち日本語版がWiiUや3DSに来るのかもしれない。が、今すぐ遊びたい人はPC版を買うしかないのでSteamからおとなしく買うのです。

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週刊アスキー 特別編集 ゲームに強いパソコンがわかる本 (アスキームック)