「ハイエース」で燃料トラブルが多い訳 エンジンを損傷させる可能性も トヨタ「ハイエース」で燃料入れ間違いが多発? なぜ燃料トラブルが起こるのか
ハイオク、レギュラーはどのような違いがある?
日本全国にあるガソリンスタンドで流通しているクルマ用燃料の油種は、レギュラー/ハイオク/軽油の3種類です。軽油は基本的にディーゼル車用の燃料ですが、レギュラー/ハイオクはどちらもガソリン車用となりますが、その違いにはどのようなものがあるのでしょうか。
通常クルマのエンジンは、燃料を気化させて空気と混合させ、着火し、爆発(燃焼)させることで駆動力を生み出しています。
【画像】超カッコいい! 発表された新型「ハイエース」を見る(31枚)
なお、最適なタイミングで爆発しないと「ノッキング(振動や音が出る状態)」が発生します。
そのため、そのガソリンエンジンの特性に合わせた燃料が指定され、高い圧縮比で適正に燃焼させたいエンジンにはハイオク、それ以外のエンジンではレギュラーが指定燃料となっています。
レギュラー/ハイオクの違いは、オクタン価という数値によって区別され、日本の産業製品に関するJIS規格では、ハイオクは96.0以上、レギュラー価は89.0以上のオクタン価と規定されているのです。
なお、地域による傾向としては欧州車ではハイオク、北米車ではレギュラーが指定される傾向となります。
ガソリンスタンドのスタッフは次のように話しています。
「基本的にメーカーが指定している燃料を入れるようにしてください。
ただレギュラー車にハイオクを入れても問題はありませんし、最近のハイオク車もレギュラーを入れてしまってもノッキングセンサーによって補正した燃焼をするので、壊れることはないようです。
しかし、メーカーが搭載するエンジンに適合する燃料を指定しているのですから、それに従うのが正しいといえます」
なぜトヨタ「ハイエース」は入れ間違いが多い?
クルマの給油時に、油種を間違えて入れてしまう「燃料の入れ間違い」のトラブルは多いといいます。
レギュラー/ハイオクと軽油では、燃焼方法が異なります。
ガソリンエンジンでは、霧状になった燃料にスパークプラグが火花を飛ばすことで燃料を燃焼させていますが、ディーゼルエンジンは空気を圧縮し、高温にしたところに軽油を噴射すると自然着火することで燃焼しています。
万が一、ガソリン車に誤って軽油を入れた場合、最初はガソリンタンク内に残っているガソリンと混ざって燃焼します。
しかし、徐々に不完全燃焼となり出力低下や黒煙の症状がみられ、最終的にはエンジンが停止する恐れがあります。
一方、ディーゼルエンジンにレギュラー/ハイオクを入れた場合、レギュラーは軽油よりも潤滑性が低いことや燃料方式が異なるため、最終的にはエンジンを損傷させる可能性があります。
給油の入れ間違いについて、ロードサービスのスタッフは以下のように話します。
「燃料の入れ間違いをすると度合いにもよりますが、タンク内の燃料を抜く、エンジン内洗浄など大きな整備・修理が必要となります。
入れ間違いが多いモデルとしては、トヨタ『ハイエース』となり、マツダ車でも入れ間違いのケースを聞きます。
ハイエースの現行モデルではガソリン車とディーゼル車を設定しているほか、マツダ車でも同じモデルに両方設定しています。
レンタカーで借りる際などに、『ハイエースは商用車だからディーゼル』といったなんとなくのイメージで軽油を入れてしまうようです。
また、軽自動車だから軽油だと思っていた、普段と違うクルマだったからうっかりして、という理由の人も多くおられます。いずれも初回の給油時に起きるトラブルですので、気をつけてください」
※ ※ ※
うっかり燃料を入れ間違えると、その代償は大きくなる可能性もあります。慣れないクルマに乗る前には必ず指定燃料を確認することが大切です。